在宅医の泣き笑い診療録

宮崎県都城市の高齢者住居を抱えるクリニックで、理想の在宅医療を模索する新米在宅医の悲喜こもごも

町の散髪屋の4人のおっさん

散髪は、小学校の同級生のイカした散髪屋さんにやってもらっている。今日も母校のそばにある、彼の散髪屋さんに行ってきた。彼は僕の髪を整え、僕は彼の健康を診ている。

 

隣の椅子では、彼のおやじさんが、おやじさんのお客さんの髪を切っていた。親子2代の散髪屋で、僕らが小学生の時もここで営まれていた。僕らの同級生の多くは彼のおやじさんにお世話になっていた。部活の子たちは丸刈りに、おしゃれさんはスポーツ刈りに。

 

おやじさんのお客さんが、
「あれ、先生?!。その節はお世話になりました。」
おやじさんのお客さんは、僕の患者さんだった。
「先生は、こちらの生まれですか?」と隣のお客さん。
「そうなんです。息子さんと僕は同級生なんですよ」
「あれ!そうですか!私はおやじさんと同級生ですよ!!」

 

町の散髪屋に4人のおっさん。1組の親子と、2組の同級生と、患者さんと町のお医者さん。

 

濃い地元感。

 

ところで、おやじさんのお客さんが帰った後にちょっと気になったので
「ねえねえ、俺、禿げてる?」
と、尋ねてみる。気の置けない友達だからこその直球の質問。
「絶対、大丈夫」と頼もしい答え。嘘がないから素直に嬉しい。

 

わざわざ、おやじさんのお客さんが帰った後に尋ねた理由は、決して彼がそうだったからだとは言わない。地元の話だけに、誰が読んでいるかわかりませんから。